私たちは1995年の阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越大地震、2011年の東日本大震災と大きな震災を経験してまいりました。その他にも近年は各地で想定外の自然災害が発生しています。そして災害があれば人命が第一ではありますが、大きな災害の際には必ず家族の一員である動物たちの問題も起きていることも確かです。
群馬県は比較的自然災害のリスクが少ないと言われていますが、近年国内外では想定外、数十年、数百年に一度と言われる自然災害が頻繁に発生しています。
災害は起こらないに越したことはありませんが、万が一の災害発生に備え、あらゆる災害を想定し対応できるように準備をしておく必要があります。
高い確率で発生が予想されている首都圏直下型地震などが発生した場合には、たとえ県内が大きな被害を免れた場合でも、他県からの被災動物を受け入れられるような体制も整えておかなければならないと思います。自然災害のリスクが低い群馬県だからできる支援の形があるのではないかと思います。
群馬県獣医師会では動物救護委員会を中心に、県内外の災害発生時に何ができるか、何をすべきか考え、災害時動物医療が提供できる体制作りなどを進めております。しかし、これらは獣医師会、獣医師だけでできる事ではありません。動物看護士、動物関係民間団体、行政、一般ボランティア、飼い主などが結集し、平時から災害発生に備えた準備を進めて行くことが必要です。
大震災の記憶を風化させることなく、見たり聞いたりボランティア活動で経験して学んだ事などを教訓として、今後何時発生するかわからない日本各地での大災害に備えて動物救護体制を整備して行きたいと思っております。
今後ともご支援ご協力の程お願い申し上げます。
主にボランティア活動を行って来た福島第一シェルター(飯野シェルター)と
福島第二シェルター(三春シェルター)について
福島県では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の地震、津波による被害に加え福島第一原子力発電所の事故が重なったことにより、多くの住民が避難を余儀なくされ、不自由な避難所生活を送らなければならなくなりました。4月22日には避難指示区域が警戒区域に設定され、たくさんの犬や猫などのペットや牛や豚などの産業動物が取り残されることになりました。
福島県動物救護本部では、国及び県が実施した警戒区域内の動物救護活動により保護された被災ペットを収容するために、平成23年4月27日、福島市飯野町に「第一シェルター」を設置し運営を開始しました。救護活動により保護された被災ペットは、1000頭以上に上り、その後も多くの被災ペットが保護されたため、田村郡三春町に新たに「第二シェルター」を整備し、平成23年10月1日から運営を開始しました。
現地スタッフおよび日本全国から集まったボランティアの地道な努力により、保護された動物たちの飼い主への返還、新たな飼い主への譲渡が進み、同年10月には「第一シェルター」における管理頭数も少なくなり、三春町の「第二シェルター」に集約管理できるまでになり、平成25年3月に「第一シェルター」は無事閉鎖されました。
更に譲渡を推進し「第二シェルター」についても平成26年9月末日をもって、東日本大震災による被災ペットの緊急避難的収容施設としてのシェルター業務を終了し、その後は「福島県動物救護本部 被災動物管理センター(三春シェルター)」として、残された被災ペットについては同所において譲渡を進めつつ飼育管理されていました。
その福島県動物救護本部 被災動物管理センター(三春シェルター)も収容していた犬猫すべてが返還・譲渡され、震災発生から4年9か月経った平成27年12月末をもって無事閉鎖されました。
フードの一部(23年12月)
東日本大震災の発生から間もなく5年が経過します。
震災発生直後から、被災地では多くの方々がそれぞれの立場で復興に向けて尽力され、それは現在もなお続けられています。被害があまりにも甚大であったため、完全な復興を遂げるまでにはさらに年月がかかることが予想されます。今もなお、不自由を強いられている被災地域の皆様と動物たちにお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々と動物たちに謹んで哀悼の意を表します。
本会においても震災直後から皆様の温かいご支援により、被災地に向けて各種支援事業を行ってまいりました。平成23年3月23日から始めた「東日本大震災支援金募金」は、平成26年3月31日をもって終了させていただきました。これまでご支援ご協力いただきました多くの皆様にこの場をお借りして、心から篤くお礼申し上げます。
皆様からお預かりした支援金の使途および群馬県獣医師会としての支援活動について以下にまとめましたのでご報告させていただきます。募金していただいた皆様の意に近い形になっていれば幸いと存じます。
平成28年2月
公益社団法人 群馬県獣医師会
動物救護委員会
中瀬と現地スタッフ
里親になるために来ていた方がいらっしゃいました。特に選びもせず、
どんな子でも良いと言って、この子を引き取って行きました。
平成23年 | 6月 | (公社)日本獣医師会に支援金 | 3,000,000 |
送金手数料 | 630 | ||
12月 | フード等支援物資代 | 531,975 | |
当会ボランティア会員活動費 | 656,800 | ||
平成24年 | 3月 | 福島第1シェルターにフード代及び発送費 | 325,710 |
8月 | (公社)福島県獣医師会へ支援金 | 2,000,000 | |
送金手数料 | 630 | ||
平成25年 | 1月 | ボランティア会員活動費及びフード等支援物資代 | 1,359,248 |
9月 | (財)全国緊急災害時動物救護本部に支援金 | 1,533,085 |
福島三春第三シェルター
福島県伊達郡飯野町にある
福島県第一シェルター
猫用トイレ砂
震災直後から本会動物救護委員会および会員獣医師、関係者と共に直接、間接的に被災地での動物の保護活動、支援活動に当たってまいりました。
被害が甚大かつ広範囲に及んだため、すべての被災地のボランティア活動に直接参加することは困難であったため、皆様からお預かりした支援金が有効に活用していただけるように、公益社団法人 日本獣医師会、公益社団法人 福島県獣医師会、一般財団法人 全国緊急災害時動物救援本部には、募金・支援金として送金し、当会では支援物資の購入および会員によるボランティア活動費として充当させていただきました。
直接的には、地震・津波に加え原発事故も重なり、警戒区域内に取り残された動物たちの問題が深刻であったことと、地理的に本県からの日帰りのボランティア活動が可能であったことなどから、福島県でのシェルターワークボランティアをメインに支援活動を行ってまいりました。
ボランティア活動の内容としては、あくまでも一般ボランティアとしてシェルター収容動物の世話に専念し、診療に関しては現地獣医師会にお任せし、需要があれば獣医療の提供も出来る準備をしながら活動を続けてまいりました。また、現地のスタッフなどから直接、今必要としていること、必要としている物をお聞きし、出来る限り速やかに現場に有効な支援をして行く事を念頭に置いて活動しまいりました。
現地の小此木委員長、稲庭、栗原、
田村(敬称略)